2019年2月23日土曜日

船越ルート、三浦半島の古代東海道、古代東海道

三浦半島の古代東海道シリーズ、第5弾です。

第1弾は実走無しの全体説明、第2弾は六浦ルート、第3弾はやまなみルート、第4弾は走水ルートを行きました(続きはこちら)。

と、言うことで第5弾は、私的本命!船越ルートです。

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まずは地形図を見てください。

地形図、主要3ルート入り。赤が船越ルート本ルート、オレンジが同ルートの榎戸ルート。
地形図、船越峠。薄緑色線が三浦半島縦走尾根。その東西で川が迫り、この峠さえ越えれば船で行ける。

幾つかお気付きになるかと思いますが、このルートの特徴として、
  • 三浦半島の付け根であり、相模湾から東京湾へは最短距離
  • 田越川が作った谷がかなり奥まで行っていて、且つ、東京湾側にも名も無き川が迫っているので、三浦半島縦走尾根を、"船越し", あるいは船継ぎさえすれば船で行ける。
ここで、船越という地名の由来について、このサイトによれば、全国に50以上認められ、内、1/3が地名由来があり、内、半分は、地峡での船陸送、あるいは船継ぎが由来であったそうです。

次に、明治初期古地図を見て下さい。言えるのは、

古地図、追分部で分かれるがどちらも片実線片点線の村道レベル。南の方は田浦に至る船越ルート本ルート、北側は榎戸ルートで、こちらは近世の魚荷道。

  • 田越川沿いから船越峠を越えて田浦に行き着く村道レベルの道が、明治のごく初期(≒ 江戸期 ≒ 中世 ≒ 古代)に認められる。
  • 法勝寺の少し東から北東に別れ、六部ヶ入坂を経由して榎戸に至る道は江戸期、魚荷道と言われ、相模湾で撮れた魚貝を、田越川を遡上し、この道を行き、江戸湾に抜け、江戸湾から船運で江戸に運ぶ道であった。
更に、
  • 本ルートの南の丘陵に4世紀の長柄桜山古墳があり、この古墳は房総半島の古墳群との共通性が認められる。
  • 上総御曹司と言われ、頻繁に三浦半島と房総半島とを行き来したはずの源義朝の館はこのルートにある。
  • 岩殿寺、延命寺、神武寺、法勝寺の前身である正覚寺と、奈良期の古寺がこのルートにはある。
と、言うことで、このルートが三浦半島の古代東海道の本命であり、東海道を東進し、三浦半島の付け根、最もくびれた部分の田越川を舟で遡上し三浦半島縦走尾根を船越し、あるいは船継ぎし、分水嶺江戸湾側の名も無き川を下り江戸湾に出、房総半島の富津に渡っていたと私は考える訳です。

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鎌倉まで輪行。西口を出て武蔵大路を南へ。六地蔵を東に折れ大町大路に入ります。この大町大路が古代東海道です。小町大路との辻を過ぎたら八雲神社に寄ります。ここも頼朝以前の古社。


八雲神社、八幡太郎義家の弟、新羅三郎義光により創建、1083年

八雲神社に参拝後、現代の県道311号、中世の大町大路、古代の東海道を東進します。

安国論寺を過ぎ、JRの踏切を渡って直ぐ左折の細い道が古代東海道なんです。


この住宅街の何てことない細道が古代東海道。その証拠に、この写真では拡大しないと見つけにくいが、日蓮乞水がある。日蓮乞水は、第4弾で紹介した日蓮の伝説の続きだ。1253年に、日蓮が鎌倉に布教に行くので、安房国南無谷から海に出たところ、風が次第に強まり、ついには時化になって、船底に穴が開き海水がたまり始めた。日蓮は船の舳先に立ってお題目を唱えた。すると不思議なことに船底の穴が塞がれ浸水がおさまり、船は猿島へ漂着した。その後、日蓮はこの地に来てのどの渇きを覚え、持っていた杖を地面に突き刺したところ、滾々と水が湧き出たという。そう、つまり、ここは房総と鎌倉とを繋ぐ道だといううこと。

この先、またもや踏切を渡って線路沿いに進み、急坂を上って名越切り通しへと入っていきます。


切り通し1
切り通し2
切り通し3
切り通し4

名越切り通しで何を切り通しているかというと、現代の鎌倉市と逗子市、嘗ての鎌倉郡と三浦郡の境界尾根を切り通しているわけです。鎌倉の中から進み、壁のように立ちはだかる境界尾根を切り通し向こうに行く。つまり、鎌倉はここまで、ここから先は逗子なんです。よく、鎌倉は三方を山に囲まれ・・・と言われますが、東はここなんですね。

境には墓場があります。ここ、名越切り通しもそう、墓場なんです。驚くことに今でもここに火葬場があります。この地は1000年を超えて葬送の地なのです。

さて、名越切り通しから亀ヶ岡団地を抜け、横須賀線沿いに進むと721年開基の岩殿寺があります。


山門
空海が爪で彫ったという爪彫り地蔵
元、海前山の山号の通り、逗子の海が見える。
観音堂
奥の院岩殿観音、行基が岩肌に十一面観音を彫った。

行基も花山法皇も後白河法皇も頼朝も通ったお寺です。

続く

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